今日は、少し「実践的」なお話をします。
あなたは、ふとした瞬間に、頭の中でこんな声が聞こえませんか?
「あーあ、また失敗しちゃった」
「あの時、あんなこと言わなきゃよかった」
「もっと生産的であるべきだ」
「みんなに好かれるべきだ」
精神科医カレン・ホーナイは、この厳しい命令を「『べき』の専制(The tyranny of the should)」と呼びました 。
まるで心の中に厳しい独裁者が住み着いていて、24時間365日、あなたを監視しているような状態です。 これでは、心が休まる暇がありませんよね。
多くの人は、この声を「消そう」とします。 「そんなこと考えちゃダメだ! 前向きにならなきゃ!」と。
でも、実は「消そうとすればするほど、その声は大きくなる」という厄介な性質があります。
今日は、この声を無理に消すのではなく、「ボリュームを下げて、気にならなくする」ための、心理学的な裏技をご紹介します。
その声に「変な名前」をつけてみよう
その方法とは、「その声の主に、あだ名をつけること」です。
心理療法(ナラティブ・セラピーやACT)で使われる由緒正しいテクニックなのですが、やることはとてもシンプルで、ちょっとユーモラスです。
自分を責める声が聞こえてきたら、それを「自分の本心」だと思わないでください。 「脳内で勝手に流れている、質の悪いラジオ番組」だと思って、名前をつけてしまうのです。
例えば、こんな感じです。
- 「毒舌ラジオ」
- 「ミスター・完璧主義」
- 「妖怪・ダメ出しおばけ」
- 「昭和の頑固オヤジ」
なんでも構いません。ちょっと笑ってしまうような、バカバカしい名前がおすすめです。
「あ、また放送が始まったな」と実況する
そして、次に「お前はダメだ」「もっと頑張れ」という声が聞こえてきたら、心の中でこう実況してください。
「おっと、また『毒舌ラジオ』の放送が始まったぞ」
「はいはい、ミスター・完璧主義のご登場ですね」
ポイントは、その声の内容(お前はダメだ)について考えないこと。 ただ、「そういう放送が流れているな」という事実だけを確認するのです。
なぜ、これだけで楽になるの?
「そんなことで?」と思うかもしれません。 でも、これには強力な効果があります。
名前をつけることで、「私 = ダメな人間」という状態から、 「私 = ダメだという放送を聞いている人間」という状態に切り替わることができるからです。
これだけで、あなたと「批判的な声」の間に、ほんの少し隙間ができます。 その隙間こそが、心の余裕(安全基地)なのです。
今日の小さな実験
今日一日、もし自分を責める声が聞こえたら、 真面目に取り合わずに、「あ、またラジオが鳴ってるな」と思って聞き流してみてください。
カフェのBGMのように、 「うるさいけど、まあ流しておけばいいか」と思えたら大成功です。
あなたは、その声に従う必要はありません。 ただの「うるさいラジオ」なのですから。
【追伸】
「そうは言っても、そのラジオの声が大きすぎて怖い…」 「なぜ、私にはこんなに厳しいラジオが流れるの?」
そう感じた方は、私が翻訳したハンドブック『生きづらさの処方箋』を読んでみてください。
この中には、その厳しい声(『べき』の専制)が、 なぜ生まれたのか? どうしてそんなに厳しいのか? という「ラジオの正体」が詳しく書かれています 。
正体がわかれば、幽霊も怖くなくなります。 ハンドブックは無料でプレゼントしていますので、 ぜひ「ラジオの取扱説明書」として持っておいてください。


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